第82章

スミスがリビングを出ていってから数分。たぶん父親に電話をしに行ったのだろう。

九条獅堂は終始、七瀬伊江の隣に無表情で座ったまま、口を開かなかった。

それでも、圧の強さだけは否応なく伝わってきて、誰も彼の存在を無視できなかった。

柚木結華はコーヒーを持ち上げ、一口だけ含む。

彼女は七瀬伊江と九条獅堂のちょうど真ん中に座っていた。スミスがあの言葉を口にしてから、どうにも居心地が悪い。

なぜ居心地が悪いのか、自分でも分からない。

七瀬伊江の表情もどこかぎこちない。彼も同じように妙だと感じているのだろう。けれど説明したところで、スミスは聞く耳を持たない。

ほどなくして、スミスがリビング...

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