第86章

柚木安洋は、さも当然といった口ぶりだった。まるで柚木陸を陥れようとしているのは、柚木結華のほうだと言わんばかりに。

祖父の誕生日の宴のとき、結華は早々に席を立った。それからもう十日以上――祖父と一言も交わしていない。

そんなこと、安洋だって百も承知のはずだ。結華が一番あり得ない。むしろ、疑うなら別の誰かだ。

「おじい様は私にすごく良くしてくれた。私が手を出すわけないでしょ。仮に私が人として終わってて、やる気があったとしても……そもそも機会がない」

「今ここで一分でも無駄にしたら、その一分ぶん、おじい様の命が危ないんだぞ」

結華は胸の奥の怒りを押し殺し、声だけを硬くした。

「……私...

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