第96章

柚木知佳は林田美菜子を睨みつけ、今にもその口を引き裂いてやりたい勢いだった。

だが林田美菜子は怒るどころか、むしろ勝ち誇ったように口元を吊り上げる。柚木安東は自分の言いなり。財産は遅かれ早かれ娘の清美のものになる。柚木結華に取り分なんて、指先ほども残さない。

血がつながっていようが、何の意味がある。

片方は家から追い出され、片方は自分の掌の上で転がしておけばいいのだから。

「喉、渇いたでしょう? お手伝いさんが燕の巣を炊いたの。少し召し上がって」

林田清美がにこやかに、小さな器を両手で差し出した。媚びるように、丁寧に。

「ふん」

柚木知佳は受け取るなり、林田清美に白い目を向けた...

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