第104章 落ちぶれの娘だろ

来栖琴音は川島治を氷みたいな目で見据え、淡々と問い詰めた。

「家? この家が、まだあると思ってるの? 川島治、いい加減、自分をだますのやめて」

「あるよ、琴音。君が戻ってくれたら、家はまた――」

川島治はそう言いながら、スーツケースの取っ手を握る琴音の手を掴もうとした。

琴音は反射的に手を引き抜き、吐き捨てるように言う。

「言ったでしょ。二度と『琴音』って呼ばないで。気持ち悪い」

何度も何度も言葉で突き放され、川島治の表情がついに崩れた。

「琴音……君、そこまでしないと気が済まないのか?」

「そうよ。私の性格、あなたが一番知ってるでしょ。今さら何を取り繕ってるの? 私がまだ、...

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