第109章 両親に会いたかっただろ?

契約成立の知らせが出たその日、業界は一斉にざわついた。

月音テクノロジーとは一体何者なのか。J市の名だたる実力派企業を押しのけ、御冠グループの人気案件をさらっていった――その正体を、誰もが探り始めたのだ。

来栖琴音は周囲の憶測などどうでもよかった。

ただひとつ、川島治がこの話を知ったとき、どんな顔をするのか。それが妙に気になっていた。

もっとも今の彼は、月音テクノロジーが自分と関係しているなど、夢にも思っていないだろう。

新会社の初案件はすでに確保した。あとは離婚裁判が終わり、拓越テクノロジーを取り戻せれば――二社を同時に回し、すべてを立て直せる。

……そのはずだった。

だがま...

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