第111章 不運だ

来栖琴音が対策を練る間もなく、一戸建てには図々しくてしつこい川島治だけでなく、川島千晶が川島の母の腕に絡みつき、にこにこ顔で押しかけてきた。

両親は事情を知らない。Y市から戻ったことを聞きつけて、わざわざ挨拶に来てくれたのだと思ったらしく、いつも以上に愛想よく迎え入れてしまう。

意外だったのは月乃の反応だ。川島の母がどれだけあやしても、月乃は来栖の母の胸にすっぽり収まり、頑として近寄ろうとしない。

川島国生の一件があって以来、月乃は川島家の人間そのものを本能的に拒んでいるのだろう。

川島の母は、月乃が懐かないとわかるや否や、今にも泣き出しそうな顔を作った。

来栖琴音の胸には、同情な...

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