第117章 お前を殴りたかった

川島治は、相手の弱みを握ったつもりでいた。口ぶりは嫌味ったらしく、そこに露骨な脅しまで混ざる。

「黙ってんの? 図星かよ。お前、来栖琴音とあのクズ――」

汚い言葉が最後まで出る前に、浅野琉生が動いた。拳が一直線に川島治の顔面へ叩き込まれる。

その一発で、川島治は床に転がった。

「てめぇ、殴りやがったな! アシスタントごときが、俺と女を取り合うとか身の程を知れ!」

喚き散らしながらよろよろと立ち上がった瞬間、浅野琉生が一歩詰める。襟首を掴み上げ――もう一発。

川島治の身体が放り投げられたみたいに飛び、床に叩きつけられて「ドンッ」と鈍い音が響いた。

入口にいた来栖琴音でさえ、聞いて...

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