第12章 先に訴える

彼女は心底うんざりした顔で白目をむく。

「じゃあ何? まさか、あなたって言うの? ――ねえ、おばさん。いい加減にしない? ここ、うちの会社だよ。市場みたいにふらっと来て、存在感アピールして楽しい? 社長奥様ごっこがしたいなら、場所変えたら。撮影所なら、相手してくれる人なんていくらでもいるでしょ」

来栖琴音は、受付の女の子の口の立ち方に内心感心した。前に置いておくには惜しい。

わざと、さっきから顔を隠していた女へ向けて、親切ぶるように言う。

「社長奥様。こんなに優秀な子がいるなら、配置換えでも考えてみたら?」

女の子は図星を刺されて顔を赤くし、噛みつく。

「何その言い方! 出て行っ...

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