第121章 心が痛い

来栖琴音は時間きっかりに地下駐車場へ降りた。車は少し先に停まっている。

乗り込んだ瞬間、浅野琉生の視線がすっとこちらへ向き、琴音の顔に落ちた。

意外だったのは、その目がやけに優しかったことだ。

昨夜、彼の電話に出なかったせいで怒っていると思っていたのに。

じっと見られて頭皮がぞわぞわする。けれど視線を逸らして彼を見る勇気もない。

しばらくして、浅野琉生が低く言った。

「……大丈夫か」

「大丈夫」

来栖琴音は淡々と返した。

次の瞬間、さっきまでの柔らかさが嘘みたいに、浅野琉生の顔が怒気に染まる。

「このバカ女。命が残ってりゃそれでいいって顔か? 痛めつけられるのが好きなのか...

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