第124章 情熱

来栖琴音は、ふと川島治の気持ちがわかった気がした。

欲に突き動かされ、いったんその味を知ってしまえば、あとは沈むだけ。深みへ深みへと引きずり込まれ、最後には抜け出せなくなる。

浅野琉生の視線が、自分に突き刺さっているのがわかる。

体が釘で打ちつけられたみたいに、動けない。

肌を撫でる空気はひんやりしているのに、なぜか皮膚の内側だけが焼けるように熱くて、息が詰まる。

羞恥まじりの欲情に、もう耐えられなくなりそうになった、そのとき。

浅野琉生が、低く、どこか名残惜しそうに言った。

「……怪我がなければ」

来栖琴音は、その一言にぎょっとして目を見開く。

視線が、彼の甘く絡みつくよ...

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