第19章 悔しさ

月乃はまだ泣いていた。パパとママが、いったいどうしてしまったのか――幼い彼女には理解できない。

最初の五年間、月乃は大事に大事に守られて育った。両親は仲睦まじく、家はいつも穏やかだったのに。いま、月乃は大人の結婚が壊れていく、その犠牲になっている。

来栖琴音は娘が可哀想でたまらなかった。けれど、何日も続いた疑いと我慢は、もう限界まで積もっている。目の前のこの男と、これ以上「愛し合ってるふり」を続ける気はなかった。

「川島治。まだ少しでも良心が残っているなら、出て。私と月乃の前で、ちゃんと説明して」

琴音は彼をまっすぐ見据え、腹の底から言葉を叩きつけた。

「あなた言ったよね。自分は例...

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