第207章 K市高松家

来栖琴音は、もう逃げられないと思った。だが、まさに刃が迫ったその瞬間――誰かが素手で、大男の握る刃先を掴み取った。

予想していた痛みは来ない。琴音ははっと目を見開く。

目の前には、整った横顔。歯を食いしばり、誘拐犯と真正面から拮抗している。

高松成尾――まさか、彼が来るなんて。

成尾の手から血が止めどなく滴っていた。誘拐犯はなおも足を上げ、成尾を蹴り飛ばそうとする。

その瞬間、琴音の体が勝手に動いた。

どこから湧いたのかわからない力で、彼女は跳ね起き――頭から誘拐犯に突っ込んだ。

「ぐっ……!」

不意打ちの一撃に誘拐犯の体勢が崩れる。成尾はその隙を逃さず、鋭く一蹴り。男を床へ...

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