第29章 悪巧みで手を組む

「川島社長、俺が見るに……琴音さん、会社のことなんて端から興味ないっすよ。何年も現場から離れてるし、帳簿だって読めるかどうか……」

川島治は首を横に振った。

「いや。あいつは慎重なんだ。帳簿は二重で作っとけ。見たいと言うなら、堂々と見せる。変に隠して疑われる方が厄介だ」

「了解っす。石川さんに一言入れときます」

来栖琴音は知っている。石川は今の経理責任者だ。

以前の琴音は、石川を嫌っていた。狡猾で、腹の内が読めない。だから単なる事務員として扱い、重要な仕事は回さなかった。

なのに川島治は、琴音に黙って彼女を重用した。

「川島社長、偽の案件の契約日、上半期にしてあります。年末の締...

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