第31章 手がかり

川島の母は退院して自宅療養に入ったとはいえ、そばに付き添いが欠かせない。

川島治は来栖琴音と娘と夕食を済ませると、その足で川島家へ戻り、母の様子を見ることになっていた。

もともと来栖琴音は川島治を生理的に受けつけない。できるだけ距離を取りたい彼女にとって、それはむしろ都合がよかった。

来栖琴音は最近、朝起きると必ず身なりを整える。メイクも髪も、きちんと。

それを見た月乃が、目をきらきらさせて言った。

「ママ、今日すっごくきれい!」

来栖琴音はくすっと笑い、娘の鼻先を指でちょんとつつく。唇を尖らせて、わざと拗ねたように。

「えー? ママ、前はきれいじゃなかった?」

「前もきれい...

ログインして続きを読む