第47章 逃げられない

来栖琴音は手の中のものをぎゅっと握りしめたまま、横目で浅野琉生の高くまっすぐな背中を追った。緊張で胸がどくどくと騒ぐ。

「琴音、何見てんだ?」

川島治が目の前まで来て、訝しげに彼女を眺めた。

「別に。ちょうどあなたを探してたの」

来栖琴音は視線を引き戻し、川島治を見る。

「もう帰れる? ちょっと疲れちゃって」

「酔ったのか? それとも具合でも悪いのか?」

今夜ここへ来た目的は、もう果たした。

これ以上、川島治の相手をする気力なんてない。

「ただ疲れただけ。帰って休みたいの」

「わかった。旦那さんが送ってやるよ」

「じゃあ車、回してきて。私は入口で待ってる」

川島治は少...

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