第53章 争いが起きる

翌日、週末。

川島治が「実家で飯を食おう。母さんが回復したお祝いだ」と言い出した。

来栖琴音は気が進まない。なにより、川島千晶の顔を見たくない。

「ママ、行こ? 月乃、おばあちゃんに会いたい。おばあちゃんのごはん食べたい」

娘の弾む声に、琴音の心がふっと揺れた。

月乃にとっては、あの家の人たちは血のつながった家族だ。親情に触れる機会を、母親の都合で奪いたくはない。

それに、ここ数年の川島のお母さんは琴音にもそれなりに良くしてくれていた。命を拾ったばかりの相手に、回復の祝いを伝えに行くのは筋でもある。

川島治が運転し、三人で向かう。

道中、琴音のスマホが鳴った。出た瞬間、琴音の...

ログインして続きを読む