第63章 帰りました

来栖琴音は体の不調も構わず、勢いよくベッドの上に起き上がった。

ドアの向こうに立っていた二人のうち、一人は彼女が探していた唐沢社長・唐沢夢生。もう一人は、親切に車で送ってくれた男だった。

「来栖さん……本当に、来栖さんなんですか?」

唐沢夢生が病室へ入ってくるなり手を差し出し、興奮を隠せない様子で琴音の手を強く握った。

琴音も胸が熱くなった。何年ぶりだろう。かつての唐沢夢生は年を重ね、髪には白いものが目立つ。体も少し痩せて、どこか疲れた顔をしているのに、目の光だけは衰えていない。

「はい……私です、唐沢社長。来栖琴音です!」

そう口にした途端、今の自分の惨めさが遅れて刺さる。雨に...

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