第64章 感動

看護師はくすっと笑いながら二人を見やり、そのまま浅野琉生に言いつけた。

「これが最後の一本だから、ちゃんと見ててね。なくなったらナースステーションまで呼びに来て」

浅野琉生はうなずいた。看護師が出ていくのを待ってから、持ってきたものを棚の上に置き、上から来栖琴音を見下ろす。

その視線にぞわりと背筋が粟立ち、来栖琴音は不機嫌そうに問い返した。

「……なんで帰らないの?」

「帰れなんて言われてない」

浅野琉生はそう言うと、棚に置いた袋のひとつをほどいた。ふわりと食べ物の匂いが広がる。

「起こしてやろうか?」

「いらない」

きっぱり拒んだくせに、来栖琴音は動かない。

浅野琉生は...

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