第8章 策略

翌朝。

起きてきた川島治は、ドレッサーの前に座る来栖琴音の顔を見た瞬間、ぎょっと目を見開いた。

「琴音、寝てないのか? クマ、ひどいぞ」

琴音は機嫌悪そうに睨み返す。

「誰のせいだと思ってるの」

治は一瞬固まった。脳裏に『酒の勢いでやらかした』の文字がチカチカする。

そのままニヤッとした痞い笑みを作り、妻の背後へ回り込むと、腰に手を伸ばした。

「ちょっと、何するの!」

琴音はびくっと肩を跳ねさせ、椅子から弾かれるように立ち上がる。

宙で止まった治の手が、所在なく揺れる。

「……琴音。腰、揉んでやろうと思っただけだぞ。なんでそんなに緊張するんだ? もしかして昨日、俺……酔っ...

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