第83章 琉生さん

浅野琉生は、駆けつけた先で目にした光景を思い出すだけで顔が曇り、低い声で問い詰めた。

「電話してきたくせに、なんで切った?」

来栖琴音は目を開く。頬を伝って、涙がつうっと落ちた。

唇をきゅっと結んだまま、何も言えない。考えに考えても、理由を口にする勇気が出なかった。

――川島千晶に、二人の関係を勝手に勘ぐられるのが怖かった。

そんなことを言えば言うほど、隠してるのが丸わかりで、余計に怪しまれるだけだ。

浅野琉生は答えを強要しなかった。だが続く言葉は、露骨に不機嫌だった。

「俺の話、三回言っても三分の一しか覚えてないだろ」

「そんなことない!」琴音は反射的に言い返す。

「午前...

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