第93章 離れたくないのか

まだ会場を離れきらないうちに、川島治が来栖琴音へ身を寄せ、焦った声で言った。

「琴音、こんな好機なのに、なんでついでに聞かなかったんだよ。御冠グループの今回の案件、うちにまだ目はあるのか? あるなら、もう一回取りにいけるだろ」

来栖琴音は川島治を横目で見て、淡々と返す。

「こういう場に、御冠グループが人を寄越した時点で、可能性は残ってるってことよ」

最近のゴタゴタで川島治も頭が回っていなかったのだろう。こんな単純な理屈すら見落としている。

琴音の言葉に、川島治はようやく胸を撫で下ろした。

「大川社長が来ないで、アシスタントの浅野さんを立てるってことは……あの人、御冠グループの中で...

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