第56章

佐藤安奈は少し不思議そうな顔をした。

おばあちゃんが以前、医学の教師をしていたの?

彼女はそんなこと一度も聞いたことがなかった。おばあちゃんが他に学生を持っていたなんて話も聞いたことがない。

「樋口さん、私はおばあちゃんが医者をしていたことしか知りません。学生を教えていたなんて話は一度も聞いたことがありません」

樋口さんも少し驚いた様子だったが、佐藤安奈に詳しく説明しようとした時、自分も人から一言聞いただけで詳しいことは知らないことに気づき、結局、佐藤安奈に提供できる情報はなかった。

佐藤安奈もそれ以上深く追求しなかった。おばあちゃんが一度も話したことがないなら、きっと...

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