第6章

 息を呑むと、冷たい空気が肺に流れ込んできた。廊下の蛍光灯が鋭く目を刺す。

 私の上に馬乗りになっていたのは、ロクシーだった。彼女の指の関節は白く染まり、胸が激しく上下している。

 その後ろでは、彼女が連れてきた二人の護衛が、雇われた暴漢を壁に激しく叩きつけていた。そして最後の一撃を食らわせ、血だまりのできた床へと沈める。

 ロクシーは自分のジャケットを脱ぎ、震える私の肩をしっかりと包み込んだ。

「セレスト」

 彼女は震える声で、そっと私の名を呼んだ。

「どうして……」

 口の中に広がる鉄の味を感じながら、私はむせび泣いた。

「あなたを、突き放したのに」

「私が人質事件だっ...

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