第104章 まだ決まっていない

古賀清彦は、相馬祈が差し出した手を見てから、隣に立つ林田柊へ視線を移した。

相馬祈にいつまでも手を上げさせる気はないらしい。古賀清彦は軽く手を伸ばし、形だけ握り返す。

「相馬嬢、はじめまして」

口調は丁寧だが、どこか商売人特有の距離が滲んでいた。

相馬祈が手を引っ込め、続けて何か言おうとした、そのとき。

背後から白鳥空弥が歩み寄ってきた。

手には赤ワインが半分ほど。白鳥空弥は林田柊も相馬祈も見ないまま、まっすぐ古賀清彦の前に立つ。

「古賀社長」

白鳥空弥はグラスを軽く掲げる。声は落ち着いていた。

古賀清彦も向き直り、グラスを合わせた。カチン、と澄んだ音が響く。

「白鳥社長...

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