第126章 恩情を忘れられない

林田柊は一瞬、言葉を失った。書類を抱える指が、無意識にきゅっと強ばる。

白鳥のお婆様は、ずっと彼女に優しかった。かつて白鳥家で過ごした数年、白鳥空弥は家に帰らないことが多く、相馬祈が外で騒ぎを起こすたび、お婆様はいつも柊を背に庇ってくれた。白鳥家で、心から彼女を大切にしてくれたのは、あの人だけだった。

「……重いんですか?」

柊が尋ねると、白鳥空弥は彼女を見て、淡々と答えた。

「言っただろ。脚の骨が粉砕して、人工骨に入れ替えた。……今は目を覚ましてる。お前に会いたいそうだ」

林田柊は視線を落とす。白鳥空弥とこれ以上、何ひとつ関わりたくない。けれど、お婆様に罪はない。自分を可愛がって...

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