第128章 掌握

林田柊は足を止めた。

人影が街灯の下へ歩み出る。手塚一賀だった。指先でライターを弄びながら、ぼんやりと火花を想像しているみたいな目をしている。加賀伊吹はその背後、段差の上に立ち、片手にコーヒーを持っていた。

「林田社長」

先に口を開いたのは加賀伊吹だ。肩肘張らない、いつも通りの調子。

林田柊は小さくうなずき、それを挨拶代わりにした。

手塚一賀が林田柊を見て、ライターをポケットへしまう。

「おばあ様のお見舞い?」

「祖母を迎えに来ただけです」

林田柊の返事はきっぱりしていて、余計な世間話は乗らなかった。

二人の脇をすり抜け、そのままビルの中へ入っていく。

加賀伊吹と手塚一賀...

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