第35章 クズ人間

白鳥空弥はその場に立ち尽くし、顔面蒼白で彼らの背中を睨みつけていた。

反射的に一歩踏み出し、追いすがろうとする。だが野次馬と警備員に行く手を阻まれ、前へ出られない。

池田真久は林田柊を黒いセダンの後部座席へ寝かせるように乗せた。

「病院へ」

運転手に短く告げる。

林田柊はシートに身を預けた。足首を貫くような激痛に、額へ冷や汗が滲む。

隣に座る池田真久を見上げ、か細い声で言った。

「……ありがとうございます」

池田真久はちらりと彼女を見て、

「大したことじゃない。礼なんていらない」

林田柊は口元だけを引きつらせ、黙り込んだ。

――白鳥空弥。あそこまで自己中心の男がいるだろ...

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