第55章 二枚舌

昼どき。林田柊は曾我京弥の少し後ろを歩き、市中心にある最高級のフレンチレストラン、その地下駐車場へ入った。

車を降りた瞬間、にぎやかな挨拶と笑い声が耳に飛び込んでくる。

顔を上げる。数台のスポーツカーの向こう、視線がぶつかった先にあったのは――胸の奥をちりちりと灼く、あまりにも眩しい光景だった。

エレベーター前に、人だかりができている。

白鳥空弥は漆黒のオーダースーツを纏い、片手をスラックスのポケットに差し込んだまま、圧倒的な存在感でその中心に立っていた。

そして彼にぴたりと寄り添うのは、相馬祈。

今日は身体のラインが際立つ白いワンピース。手には限定モデルのバッグ。周囲には財界で...

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