第63章 俺を待ってて

二人は前後して主寝室へ入った。

部屋の空気は、廊下よりもいっそう冷え切っている気がする。

林田柊は洗面台へまっすぐ向かい、濡れた服を脱ぎ替えようとした。

そのとき、ベッドサイドテーブルに置かれた白鳥空弥のスマホがぶるぶると震えた。

空弥は歩み寄り、端末を手に取って通話ボタンを押す。

「空弥……」

受話口から、泣き声を噛み殺した相馬祈の声が漏れた。静まり返った室内では、やけに鮮明に響く。

白鳥空弥の無表情が、瞬く間に崩れた。

眉間に深い皺を刻み、声を落とす。

「どうした? 泣くな。ゆっくり話せ。どこか具合でも悪いのか?」

さっきまで温泉で見せていた、死人みたいな凪いだ気配は...

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