第65章 どうでもいい

林田柊は彼を見た。

なぜ相馬祈を連れてきたのか――問い詰めもしない。

なぜ自分ひとりを部屋に残し、おばあ様の相手をさせたのか――愚痴もこぼさない。

ただ一度だけ目を向け、まるで他人を見るみたいに、すっと視線を外した。

怒りも、悔しさも、詰問もない。

白鳥空弥の足が、わずかに止まる。

林田柊なら騒ぐか、少なくとも憎しみを滲ませた目で睨むと思っていた。

大勢の友人の前で、相馬祈を彼女の前に連れてきた。面目なんて、完全に潰したのに。

「ママ、このお湯のやつ、つけられない!」

浴室から白鳥北斗の声が飛ぶ。

「すぐ行く」

林田柊は短く返事をした。

髪を拭いていたタオルをソファに...

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