第73章 古い友人

電話の向こうで、白鳥空弥の声はまるで業務連絡みたいに淡々としていた。

「今夜は行かない。ちょっと片づける用がある」

相馬祈の頬に貼りついていた笑みが、ぴしりと固まる。

「でも……おじいさまがずっと待っていらっしゃいますし、みなさん、あなたに一度お会いしたがって――」

「待たせるな」

ツーツー、と無情な切断音。

相馬祈はスマホを握りしめた。指の関節が白くなる。

大きく息を吸い、視線だけで周囲をなぞる。

少し離れたところで奥様たちは相変わらず楽しげに談笑し、ときおりこちらへ媚びるような目線を投げてくる。彼女の狼狽に気づいた者はいない。

相馬祈はスマホをバッグに押し込み、もう一度...

ログインして続きを読む