第75章 来るのか来ないのか?

松本家の邸宅ホールの空気は、まるで誰かに真ん中から断ち割られたみたいだった。

片方ではまだグラスが鳴り、笑い声が弾んでいる。もう片方ではひそひそ声が広がり、視線がときおり相馬祈のほうへ流れてくる。

「白鳥空弥、結局来るの? もう9時近いけど」

「厳しいんじゃない。さっき、伊波家のほうに行ったって聞いた」

「伊波家? 海外会議があるって話じゃなかった?」

「さあね」

声量は大きくも小さくもない。ちょうど、祈の耳に刺さる程度。

ワイングラスを持つ指が、きゅっと締まる。爪がガラスに薄い筋を残した。

松本清月が焦ったように身を寄せ、祈の耳元で囁く。

「祈、どうするの? 何人も聞いて...

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