第84章 どうやって?

林田柊が電話を切るころには、どんぶりの澄ましラーメンはすっかり伸びていた。

箸をどんぶりに放り、ソファにもたれて天井をぼんやり見上げる。

――自分の男をちゃんと見張れ、だって?

見張れ、何を。

どうやって。

浮気相手の母親に120億も出して別荘を買うような男を、私が守れるわけがない。

胸の奥に溜まった息苦しさが、上にも下にも逃げ場を失って、ぎゅうっと詰まる。

林田柊は麺をゴミ箱へ流し込み、どんぶりをシンクに放った。がしゃん、と乾いた音。

スマホがまた震える。

今度は白鳥空弥じゃない。曾我京弥だった。

「家?」

「うん」

「一杯行く? 赤鳥。いつもの席」

赤鳥は街の中...

ログインして続きを読む