第86章 妥協?

林田柊は、帰らなかった。

デスクに腰を据えたままモニターを睨み、指先でエンターキーを強く叩きつける。

会場中央。白いテスト車両が、すうっと減速して停止した。

ドアが開き、白鳥空弥と相馬祈が肩を並べて降りてくる。

松本莉香がハイヒールを鳴らして駆け寄り、刷りたてのデータレポートを高く掲げた。声量は、会場の隅まで届くほどだ。

「白鳥社長! 祈姉さんのチームが出した最新のテストデータです! 各指標、完璧です!」

矢野慎介が覗き込み、ざっと目を走らせた瞬間、顔色が変わった。

坂東宇一がレポートをひったくり、印字されたパラメータを指で叩きながら怒鳴る。

「ふざけんな! これ、曾我教授と...

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