第87章 死角を残さない

林田柊は片手でハンドルを押さえ、車を山道へ乗せた。

Bluetoothイヤホンをタップし、おじ様――伊波武長に発信する。

「おじ様、加賀伊吹の投資分、入金は確認できましたか」

『午前中に法人の口座へ入った。契約も全部、手続きは完了して社印も押してある』

「なら、すぐに核心技術の特許を一段クロスライセンスにして、主体会社から切り離してください。白鳥空弥が今、狂犬みたいに噛みついて回ってる。さっきシュンドゥの案件は完全にロックしたから、あいつは絶対に伊波家の直近の資金の動きを洗う。伊波家の資産に手を出す隙を、1ミリも与えないで」

伊波武長が、半拍置く。

『わかった。午後には動く。穴は...

ログインして続きを読む