第94章 止めない

加賀伊吹は、真っ黒なままのスマホを見つめていた。通話が切れたあとのツーツーという忙しない音が、個室の壁に跳ね返って残響する。

さっきの林田柊の口ぶりは、捨てられた女の恨み言なんかじゃない。

そこにあったのは、計算と――野心。

「……あいつ、白鳥空弥を潰す気だな」

加賀伊吹はスマホをテーブルへ放った。

手塚一賀が身を乗り出す。

「正気か? 白鳥グループって、あの規模だぞ。あいつ一人で食えるわけねえだろ」

加賀伊吹は鼻で笑った。

「背後がいるに決まってる。洗え。林田柊が最近接触した人間、片っ端から全部だ。あいつがこんな賭けに出るなら、切り札は新エネ案件だけじゃねえ」

――翌朝。...

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