第98章 決して譲歩しない

林田柊は、机の上に置かれた暗号化ハードディスクを見つめていた。

白鳥空弥の裏帳簿。――あれを握れれば、白鳥空弥を引きずり下ろす切り札になる。

「絶対支配権、ね」

林田柊は鼻で笑った。

「加賀伊吹……欲張りすぎ」

加賀伊吹は椅子の背にもたれ、指を組んだまま泰然としている。

「商売は利だけだ」加賀伊吹は淡々と言う。「松本家がTMの設備を押さえた。俺がいなきゃ、TMは明日にも止まる。支配権を渡せ。松本家は俺が片づける。そのうえで、白鳥空弥の帳簿もくれてやる。――お前の勝ちが確定する取引だ」

林田柊は手を伸ばし、協業案をすっと押し返した。

「TMの支配権は渡さない」声は低く、揺れない...

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