第246章 彼女のものは誰にも奪えない

檸檬は笑みを浮かべ、誘うように湘子へと手を差し伸べた。

湘子は腸が煮え繰り返る思いだった。今日の晩餐会のために、どれだけ長い時間スピーチを練習してきたことか。

それが今、すべて台無しにされたのだ。

檸檬のあのクズ、よくもまあ一緒に登壇しようなどと誘えたものだ。これは屈辱以外の何物でもない。

東弥はその様子を見て、慌てて口を挟んだ。「湘ちゃん、二人で一緒に上がっておいで。君たちは姉妹なんだし、二人ともこの脚本に同じように貢献したんだから」

湘子はしぶしぶと手を伸ばしたが、檸檬はすっと自分の手を引っ込めた。

「冗談よ。本気にしたの。本人が来たからには、あなたに代理でスピーチしてもらう必...

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