第268章 条件は湘子を高坂家から追い出すこと

篠崎夫人の言葉はかなりの重みを持ち、その意図もまた明白だった。

東弥の顔色は瞬く間に土色になった。今の高坂家は結城家にすら逆らえないのに、ましてや篠崎家など論外だ。

その場にいた者たちは皆、固唾をのんでこの一幕を見守っていた。誰も口を開こうとはしない。

なにしろ、篠崎家の人間を敵に回せる者などいるはずもなかった。

湘子は大泣きしそうな顔で、声を詰まらせながら言った。「東弥兄さん、私、この方が篠崎夫人だなんて知らなかったんです。檸檬姉さんが教えてくれればよかったのに、何も言ってくれなくて……」

檸檬が一言教えてくれてさえいれば、自分が篠崎夫人を怒らせるようなことにはならなかったはずなの...

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