第285章 口元まで出かかった真実

その言葉を聞いて、檸檬は少々腑に落ちない気持ちになった。

彼女は微笑む。

「望月のお嬢様、私の彼氏がどんな人か、私はよく分かっています」

千謙の人格がどうかなんて、他人にどうこう言われる筋合いはない。

詩織の言葉は喉まで出かかっていた。檸檬に真実を告げたい。しかし、結局口には出せなかった。

彼の正体を檸檬に教えるとしても、少なくともこんな簡単な形ではダメだ。

そんなことをしたら、檸檬にいい思いをさせるだけではないか?

どんな女の子だって、自分の彼氏がまさか篠崎家の若様だと知ったら、嬉しさで狂喜乱舞するに決まっている。

そうなってしまえば、檸檬はきっともっと彼を離さなくなるだろう。...

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