第303章 これで兄貴は進退窮まった

檸檬が詩乃から別れの二文字を切り出された時、彼女は少し意外に思った。

まさか詩乃の方が自分よりずっとさっぱりしているとは。

詩乃が別れを口にした時、東弥は呆然とした。「別れる、だと?」

「ええ。まさか高坂家の人々がこんな人たちだなんて思わなかったわ。さっきあの女が私のドレスを着ていたのに、あなたは彼女が着替えてから私に返すことに同意したっていうの?」

詩乃の表情には皮肉が浮かんでいた。「東弥、本気で私がこのドレス一枚に困ってると思ってるの? よくもまあ、こんな侮辱をしてくれたわね?」

さっきの東弥のあの言葉を聞いた時、詩乃は彼の心の中に自分への好意など微塵もなかったのだと悟った。

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