第305章檸檬、今日は篠崎家の人にならなければならない

檸檬は、霧人の恥知らずさを甘く見ていた。

前世の霧人は、ここまで厚顔無恥だっただろうか。でも、あの頃の自分は、霧人との接点はさほど多くなかった。

何しろ当時は、湘子はすでに宴と付き合っており、結城家という名門に嫁ぐことに躍起になっていたから、霧人と湘子の間に何かあったなどとは聞いたこともなかった。

霧人は逆上して怒鳴り散らした。「檸檬、俺は一応お前の兄貴だぞ。金ぐらい払わせて何がそんなに不満なんだ?」

「あなたにそんな資格ある?」

檸檬もここで時間を無駄にしたくはなかったので、くるりと背を向けて個室を出た。

背後から、霧人が琉生に金を払うよう要求する声が聞こえてくる。昔、琉生にあ...

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