第322章 檸檬、高坂家の顔に泥を塗った

檸檬は沙奈を真っ直ぐに見据えた。その表情には焦りの色ひとつなく、あくまで冷静だった。

「私があなたのブレスレットを盗んだとおっしゃるのですか? 証拠は?」

「証拠が必要? さっきフードエリアに行った時、手首につけていたアンティークのブレスレットがなくなったのよ。あそこにいた部外者はあなたたち二人だけ。あなたたちが盗った以外に誰がいるって言うの?」

沙奈は傲慢な態度で言い放った。その口ぶりは、檸檬の額に「泥棒」という焼き印を押さんばかりの勢いだ。

これに黙っていられなかったのは詩乃だ。

「沙奈、頭がおかしいんじゃないの? 私もあそこにいたわ。まさか私まで泥棒扱いする気?」

沙奈は鼻で...

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