第325章 これで完全決裂

檸檬はステージの下に立ち、マイクを握る詩乃の落ち着き払った様子を見て、ほっと胸を撫で下ろした。

昨晩の詩乃は、今日のことへの不安で泣き腫らしていたというのに。

それでも今日、彼女は気丈に振る舞っている。

ステージ上の詩乃は、台下の檸檬の姿を認めると、緊張がふっと緩んだようだった。

詩乃は長年、一度も家に逆らったことがなく、ひたすら叔母さんの言いつけを守ってきた。彼氏を変えたいという希望くらい簡単に通ると思っていたのに、まさか叔母さんに罵倒されるとは思ってもみなかったのだ。

詩乃はその時になってようやく、叔母さんが自分が思っていたほど自分を大切にしていないことに気づいた。

少しでも意...

ログインして続きを読む