第425章 千謙、なんと非道な心か

その言葉を耳にして、千謙は反射的に眉を寄せた。

開け放たれた社長室のドア越しに、外の秘書課の連中がその声を拾い、好奇の視線を交錯させる。《一体どういう状況だ?》

まさか、篠崎社長が望月家の令嬢を弄んで捨てた、とでも言うのか。

千謙は顔色ひとつ変えず、冷淡に告げた。

「望月さんにお引き取り願え」

今の彼には、詩織と語り合うべきことなど何一つない。

秘書が望月詩織の前に進み出る。

「望月様、恐れ入りますがご退室をお願いいたします。篠崎社長は執務中でございまして」

「どいて。今、私の用件より重要なことなんてないわ」

詩織は秘書を乱暴に突き退け、千謙のデスクへと詰め寄る。そして声を潜めて...

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