第440話 昨夜、先に寄ってきたのはお前だ

高坂檸檬は頬を染め、慎重に彼の手を退かそうとした。

せめて彼が目覚める前にベッドを抜け出せば、この気まずさから逃れられる。

だが、高坂檸檬がわずかに身じろぎしただけで、篠崎千謙は目を覚ましてしまった。

彼は彼女の頭頂に顎をすり寄せ、少し鼻にかかった声で囁く。

「起きたか。おはよう、檸檬」

篠崎千謙は無意識に腕に力を込め、高坂檸檬をその胸に強く抱き寄せた。それは本能的な反応だった。

夢だと思っていたが、掌から伝わる確かな感触が、これが現実であることを告げている。

篠崎千謙はようやく瞼を持ち上げ、腕の中に背を向けて収まっている少女を見下ろす。彼女の耳は、血が滴りそうなほど赤く染まって...

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