第447章 彼の胸の硬い筋肉

詩乃は、恐怖のあまり手足の震えが止まらなかった。

ただでさえ普段から愛想ひとつない男なのに、今のように不機嫌さを露わにした顔は、輪をかけて恐ろしい。

男の腕に抱きすくめられた彼女は、その胸板の硬質な筋肉の感触と、そこから伝わる力強い心臓の鼓動を鮮明に感じ取っていた。そのあまりに強いリズムが、彼女自身の心拍までをも狂わせていく。

詩乃は顔を真っ赤に染め、情けない声で言った。

「放して……」

「さっきは自分からスカート捲って見せてくれたくせに、今は触るのも駄目なのか?」

陽太の声が耳元で低く響き、彼女はひっ、と首をすくめる。

その時、外からカツカツというヒールの足音が近づいてきた。

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