第469章 私に会うのが怖いのか

千謙は口元を押さえて何度か咳き込み、やがて顔を上げた。

「何かあればいつでも連絡を。すぐに戻る」

千謙は病室を後にした。檸檬の件については、彼自身にも答えが出せないでいる。

誠は千謙の背中を見送った。かつてはあんなにも頼もしく伸びていた背筋が、今は見る影もなく惨めだ。

誠は自身の顔を乱暴に擦った。どうして、こんなことになってしまったのか。

タクシーでマンションの下まで来た千謙は、檸檬の住む階を見上げた。明かりはついていない。

携帯電話を取り出し、長い逡巡の末、ようやく彼女の番号をタップした。

呼び出し音が鳴るわずか数秒が、千謙には永遠のように長く感じられた。

通話が繋がった瞬間、...

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