第490章 彼女は確かにこの男が好きだ

檸檬は一瞬沈黙し、こう告げた。

「考えすぎです」

電話を切った後、彼女は小さく溜息をついた。

自分から、千謙に連絡を取るべきか?

思わず、最後に会った時のことを思い出してしまう。

あの時、彼女は千謙を車から追い出したのだ。

さらにその前は、彼に拳を見舞っている。

当時は彼に騙されていたという怒りに支配されていて、まさか今になって彼の手助けが必要になるなどとは、夢にも思っていなかった。

『情けは人の為ならず』とか『立つ鳥跡を濁さず』とか。

先人の遺した言葉は、やはり真理だったということか。

檸檬は頭を抱えた。彼に連絡するべきだろうか。

迷いは尽きない。

檸檬は車を走らせ、大学へと戻っ...

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