第524章 草むらに潜むもう一人

檸檬の言葉を聞いて、千謙はすぐに車を路肩に寄せた。

彼は檸檬を見つめる。

「他には?」

檸檬は少しの間沈黙してから、口を開いた。

「思い出しました。道端の草むらに、まだ人が隠れてたって」

「恐らく、それが湘子の父親だろう。事故死を恐れて、手下に精巧なマスクを被らせて身代わりに仕立て上げたんだ。運転手は逃亡を図ったが、車内に証拠を残してしまい、取りに戻るよう脅された……。そこで車が爆発した、という筋書きか」

檸檬は首を横に振る。

「違います。一人じゃなかった」

「確かか? 共犯者かもしれないぞ」

檸檬は懸命に記憶を辿ったが、詳しくは思い出せなかった。時間が経ちすぎているせいで、記憶の...

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